*** 平成29年10月31日 オープン研修会(秋の授業研究会) *** |
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言葉をみつめ,言葉との新たなつながりを見出す学び | ||
●授業学年 3年A組 鎌田 雅子 単元名 「説明の工夫を考えながら読もう~花を見つけるてがかり~」 |
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◆研究協力者 阿部 昇(秋田大学) 成田 雅樹(秋田大学) |
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終了後のリポート | ||
本単元で「説明型と推理型の論の進め方の違いが分かり,消去法を用いて推理を進める筆者の書き方の工夫やよい点を考えながら読む」という資質・能力を高めるために,単元を通して「構成や推理の進め方に着目し,叙述と叙述とを関係付けながら読む」という「見方・考え方」を働かせる学習活動を設定しました。 本時では,3つの実験について説明しながら選択肢を絞り込む書き方の効果を問うという手立てをとりました。前時の学習の中で「何を手がかりに花を見つけるのでしょうか。」の「問い」の後に示された「花の色でしょうか。形でしょうか。それともにおいでしょうか。」という投げかけが,本教材の一番の書き方の工夫ではないかと子どもたちは考え,本時を迎えました。 読者の興味喚起,選択肢の中から答えを考えることができるといった効果に着目した発言が続いた後,「実験が進むごとに答えが切り捨てられている」という考えが出されました。そこで,3つの実験と「色・形・におい」の3つの選択肢を絞り込んでいく効果を「対話」を通して明らかにしていきました。 消去法が用いられていることを図で確かめたところで,「手がかりは色」と直接述べる書き方と,一つずつ答えを絞り込んでいく書き方の効果の違いを子どもたちに問いました。その結果,消去法を用いた論の進め方の方が「筆者の考えの道筋が分かるから納得させられる」「手がかりは色であるという結論により納得できる」といった発言が出され,推理型の論理展開のよさを実感することができました。 【授業検討会】 研究会では,提案授業をもとに国語科の本質に迫る授業づくりのポイントとして,以下の点が明らかになりました。 1.仮説を論証していく推理型の表現の効果を実感できるようにするためには,表現の工夫を用いてない場合と比較することが有効である。 2.「対話」を通して読み取ったことを整理し理解を高めるために,構成等を図示する活動が有効である。 3.友達と自分の思考を結び付けるためには,教師の問い返しや焦点化することが効果的である。 参加者からは提案授業について以下のような意見が出されました。 ・ グループや全体で話し合うことで3年生なりに消去法の効果に気付き,他の意見に触発されながら新たな価値を見つけ出すことができていた。 ・ 図示する活動で,実験の結果を示すのか,実験を始める前の予想を示すのか,明示されなかったために子どもたちが戸惑っていたのではないか。 ・ 子どもの理解を高めるために,子どもの発言に対しての具体的な切り返しなど,友達と自分の思考を結び付けるための教師の手立てが工夫されていた。 ・ もっと早い段階で子どもの意見を生かしながら,協働して追究する問いへ進むべきであった。 |
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社会科の「見方・考え方」を働かせ,よりよい社会について主体的に思考する学び | ||
●授業学年 4年C組 石井 史知 単元名 「調べよう,考えよう,ごみのゆくえ」 |
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◆研究協力者 外池 智(秋田大学) 加納 隆徳(秋田大学) |
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終了後のリポート | ||
本単元で「ごみの処理に関わることについて調べた社会的事象から,気が付いたこと、分かったこと,考えたことをもとにして意見を組み立てる」という資質・能力を高めるために,単元を通して「処理の仕組みや再利用、人々の協力などに着目して,廃棄物の処理のための事業の様子をとらえ,それらの事業や地域,自分たちが果たす役割を考える」という「見方・考え方」を働かせる学習活動を設定しました。 本時では,資源化物の処理に関かかわっている人や店,施設,企業等のそれぞれの間にどのようなつながりがあるのか考えていきました。「リサイクルされてまた製品になったものがお店で売られて自分たちも買っているから,工場と自分たちはつながっている。全体のつながりが輪のようになっている。」「ごみ収集作業員の方を取材したとき,匂いや汚れが残らないようにしているという話があった。収集しやすいように,各家庭でも分別をしっかりして協力している。」といった子どもの言葉が「対話」の中で生まれました。 事例をペットボトルのリサイクルに絞ることにより,より具体的な場面や取組を意識した話合いができるようにしました。また,本校社会科部の重点である「事実を基にした考えの構築」となるように,根拠を明確にして話し合うようにしました。その結果,「協力していることが分かり,みんな関わり合っていることが分かった。」「環境を守るという共通した目的でつながっている。」というそれぞれの取組のつながりをとらえることができました。 【授業検討会】 研究会では,提案授業をもとに社会科の本質に迫る授業づくりのポイントとして,以下の点が明らかになりました。 1.多角的に社会的事象をとらえる力をつけるためには,様々な立場から考える活動を設定することが有効である。 2.身近な社会的事象の意味について考える場合は,実際の生活と結びつけながら考える活動を設定することが有効である。 参加者からは提案授業について以下のような意見が出されました。 ・ 前時とのつながりや違いを明確にした課題であった。 ・ これまでに調べた資料を見ながら事実を基にして話し合うことができていた。 ・ それぞれの立場の関係や思いについて考えられるようにするための手立てとして,5つの立場の関係を一度に考えるといろいろなところに思考が散ってしまうため,区切って考えたり,グループ毎に割り振ったりするとよいのではないか。 ・ 関係についての考えが深まるように,ワークシートや板書の工夫によって子どもの考えを視覚化することもできるのではないか。 |
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かかわり合いを通して理解を深め,数学的な価値を見いだす学び | ||
●授業学年 3年B組 松橋 純子 単元名 「分数って何?」 |
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◆研究協力者 杜 威(秋田大学) 佐藤 学(秋田大学) 山名 裕子(秋田大学) |
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終了後のリポート | ||
本単元で「分数の意味や表し方を理解し,同分母分数の加法・減法ができる」という資質・能力を高めるために,単元を通して「単位分数に着目して,分数の大きさをとらえる」という「見方・考え方」を働かせる学習活動を設定しました。 本時では,同分母分数の大きさを比べる方法を個人個人で考えた後に,3つの考えを取り上げ,全体での対話を行いました。さらに「どれだけ大きいのか」を問い,子どもたちが迷った「違いの表し方」の場面でペアでの対話を取り入れました。 その結果,次のような授業が展開されました。 「単位分数のいくつ分」という見方で分数の大きさ比べができるように,問題把握場面で「1/10,3/10,1/4」を提示し「分母が同じなら比べやすそう」という子どもたちの声をもとにして問題を作り,解決の見通しを立てました。数直線や分子だけで比べた考え,1/10をもとにしていくつ分で比べた考えを取り上げ,全体の場で話し合いました。「単位分数のいくつ分」の考えがどんな場面でも活用できるのか「2/6と4/6」で確認し,さらに「どれだけ大きいのか」を問いました。 子どもたちから「2大きい」「1/6が2つ分大きい」「2/6大きい」などの発言が出され,ペアで「対話」を行いながら,どの発言が「違い」を正確に表しているのか考えました。始めは迷っていた子どもたちでしたが,「2大きいということは,大きすぎる」「この2つ分は1/6をもとにしている」「1/6の2つ分と2/6は同じこと」といった話合いを通して,「単位分数のいくつ分」に着目して分数の大きさを比べることができました。 【授業検討会】 研究会では,提案授業をもとに算数科の本質に迫る授業づくりのポイントとして,以下の点が明らかになりました。 1.図は問題を理解するため,解決するため,説明するためのものである。 図を効果的に活用することで,子どもは1/10に着目し,1/10で比べるよさに気付くことができる。 2.数と量の双方を扱い,数から量へ,量から数へと子どもの思考を変換させる場合は,具体物の活用が有効である。 3.単位分数への理解をより深めるためには,2つの同分母分数の差を考えることが有効である。 参加者からは提案授業について以下のような意見が出されました。 ・ 同分母分数の比較の場面で単位分数のいくつ分に着目させるための手立てとして,導入の場面で異分母分数も交えて提示したことで,同分母だからこそ比較できるということを強く意識付けることができ,効果的であった。 ・ 後半に提示した「どれだけ大きいか」の問題の場面では,子どもから疑問や迷いの声が挙がり,子どもたちの思考が活発に動いていた。 ・ 単位分数のいくつ分に着目させるならば,「どれだけ大きいか」の問題を導入で提示してもよかったのではないか。 ・ 「どれだけ大きいか」について言葉での説明でまとめていたが,数直線や図も使って説明をすることで,迷っていた子どもも納得することができたのではないか。 |
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理科の「見方・考え方」を深め,獲得した科学的な概念と実生活をつなげていく理科学習 | ||
●授業学年 6年C組 高橋 猛 単元名 「電気とわたしたちのくらしとのかかわりを調べよう」 |
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◆研究協力者 川村 教一(秋田大学) 田口 瑞穂(秋田大学) |
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終了後のリポート | ||
本単元で「発電や蓄電,電気の変換における電気の量と働きの関係について考えを深める」という資質・能力を高めるために,単元を通して,電流の強さと働きの大きさの関係を量的にとらえるという「見方・考え方」を働かせる学習活動を設定しました。 本時では,子どもたちに電気を利用した道具を持参させ,どのように働きを調節して利用しているのかを説明する活動を行いました。 そして,「光や音,熱,運動の量が変化するのはどうしてか。」という新たな問いを投げかけることで,働きの大きさが変化する要因について「対話」を通して個々の推論の吟味を進めていきました。持ち寄った道具を操作しながら,「ゲーム機の音を大きくして遊ぶと,充電している電池が早く無くなる。電流を強くして,音を大きくしているのではないか。」「手回し発電機を速く回したとき,電流が強くなってモーターが速く回ったことから,扇風機のプロペラの回る速さは,電流の強さに関係があるのではないか。」など,自分たちの経験や生活とつなげて推論する子どもたちの姿が見られました。 その後,実際に検流計を使って,それぞれの道具の電流の強さを確かめたところ,推論通り,電流の強さで働きが変わる道具や,電流の強さだけでは説明がつかない道具もあり,新たな疑問が生まれ,日常生活を科学的に考える子どもの姿が見られました。 【授業検討会】 研究会では,提案授業をもとに理科の本質に迫る授業づくりのポイントとして,次の点が明らかになりました。 1.自分の身の回りにある電気を利用した道具について考察することで学んだ科学概念を生活と結び付けることが重要。 2.既習事項と新たな学習内容と結び付け科学的な思考力を高めるための支援や教材の工夫が必要。 3.科学的に考える子どもの姿を引き出すためには深い教材研究によって,身に付けさせたい科学的概念を明確にすることが大切。 参加者からは提案授業について以下のような意見が出されました。 ・ グループで共通の道具があると電流の大きさと運動などの量との関係性が分かりやすかったのではないか。 ・ 本時では身の回りの電気を利用した道具を持ち寄ったことで,自分の生活経験をもとに推論を進める姿が見られた。 ・ 理科で学んだきまりや性質を知識として終わらせるのではなく,生活につなげていこうとする姿が見られた。 |
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